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五行学説

当院のインスタグラムでシリーズにて投稿させて頂いた「五行学説」。

 

こちらのブログにてまとめていきます。

 

●五行学説とは

世界の構成要素が5種類であるという考えに基づいており、5種類とは"木火土金水"で構成されています。この"木火土金水"が五行です。

:曲直:草木が日に向かって真っすぐ成長するさま

:炎上:炎が上に向かって燃えるさま

:稼穡:土が農作物を育てるさま

:従革:金属が人の手によって加工され形を変えるさま

:潤下:水が高いところから低いところへ流れ潤すさま

これら5つの属性が相互に関係し、産生による循環や相互の抑制を示した学説を五行学説と言います。

 

●相生、相克関係

相生:相手を生み出す、親子の関係

"木火土金水"で見てみると、木の摩擦によって火が生じ、火が燃えた灰によって土はでき、土の時の経過により金が生じ、金のミネラルによって水が生じ、水によって木が成長すると言ったものです。

 

相克:相手を克する、宿敵の関係

"木火土金水"で見てみると、木は土の栄養を奪い、土は水の流れを止め、水は火を消し、火は金を溶かし、金は木を切ると言ったものです。

 

これらの関係はポケモンなどのゲームの相性、「効果はバツグンだ」「効果はいまいちのようだ」のあれを想像してもらえると少しわかりやすいかと思います。

 

実際の治療では、この考えを用いて、弱っているところがあったら相生関係を用いて親に助けてもらうこともあります。それに適したツボを選択していきます。

●五行色体表 

では、次に五行色体表というものについて説明していきます。

五行色体表とは五行"木火土金水"を自然、体、感情、食物などあらゆるものに対応させたものです。

五行
五臓
五腑 小腸  大腸 膀胱 
五体 血脈
五官
五味
五華 面色
五季 長夏
五気 湿
五志
五臭
五液
五色
五能
五果
五菜
五蓄

まず、ここで覚えて頂きたいのが、五行に対応する五臓です。臨床上、問診や脈診や腹診などで五臓の気の状態を判断し、治療を行っていきます。各五臓は対応する五行の性質を持ち合わせています。

これからの話も五臓をベースに進めていきます。

 

では早速。"肝"の列に対応するものに"眼"があります。デスクワーカーのような眼を酷使するようなお仕事の方は"肝"の気を損傷しやすかったり、逆に"肝"の気が弱っていると眼がかすんだりすることがあります。

もう一つ、"肺"の列を見てみると、"皮"や"鼻"があります。"肺"の気が弱っている人は皮膚や呼吸器のトラブルを抱えている人が多かったりします。 

 

このように五行や五臓に当てはめて考えていくと、自分の体で気を付けなければいけないことやセルフケアの仕方、食事の取り方が自然と見えてきます。また、季節ごとの対処の仕方もわかってきます。

 

●各五臓の特徴・不調 

では、この五行色体表を基に各五臓の特徴および不調をまとめてみましたので、確認してみましょう。

特に不調のスライドを確認して頂いて、ご自身の体に当てはまる不調がある場合、その対応する五臓が不調を呈している可能性が高いですよ。

 

●各五臓の不調の際にお薦めのツボ、薬膳 

各五臓が不調を呈している場合にお薦めのツボ、薬膳をお伝えしていきます。

 

 ~肝の不調の場合~

 〇ツボ

 ✓太衝 たいしょう

親指と人差し指の間を足首の方へなぞり、指が止まるところ 動脈拍動部

 ✓曲泉 きょくせん

膝の内側、膝を曲げて出来たシワの端

 

 〇薬膳

 ✓にんじん

血の不足による目の乾燥や視力低下、かすみに効果を発揮します

 ✓レバー

血を養い、生理不順や顔色蒼白、視力低下に効果を発揮します

 ✓ほうれん草

血の不足による顔色蒼白、視力低下に効果を発揮します

 ✓桂皮(シナモン)

気や血や津液など停滞しているものを動かし、発散する作用があります

 ✓梅

筋肉を引き締め、汗や尿などが出過ぎるのを防ぐ作用があります

 ~心の不調の場合~

 〇ツボ

 ✓少衝 しょうしょう

手の小指の爪のきわ、薬指寄り

 ✓大敦 だいとん

足の親指の爪のきわ、人差し指寄り

 

 〇薬膳

 ✓苦瓜(ゴーヤ)

発熱や多汗、のどの渇き、眼の充血、吹き出物、にきびに効果を発揮します

 ✓冬瓜

熱を冷まし水分を回す働きがあります。熱中症の予防、のどの渇きに効果を発揮します。

 ✓西瓜(スイカ)

熱邪による体の熱感、多汗、のどの渇き・痛みに効果を発揮します

 ✓蓮根

熱邪による眼の充血・痛み、食欲不振に効果を発揮します

 ~脾の不調の場合~

 〇ツボ

 ✓大都 だいと

足の親指から踵の方へなぞった際に最初に指が止まるところ

 ✓少府 しょうふ

掌で薬指と小指の間

 

 〇薬膳

 ✓かぼちゃ

脾の虚弱による疲れ、吐き気、腹部の冷え・痛み、下痢、便秘に効果を発揮します

 ✓とうもろこし

健脾益肺作用があり、食欲減退、疲れ、腹部の張りに効果を発揮します

 ✓枝豆

消化吸収を補助し、胃を元気にしてくれます

 ✓りんご

消化不良、慢性の下痢(煮たりんご)、便秘(生のりんご)に効果を発揮します

 ~肺の不調の場合~

 〇ツボ

 ✓太淵 たいえん

掌側で手首のシワ上の親指側 動脈拍動部

 ✓太白 たいはく

足の親指の付け根を踵の方へなぞった際に一山超えたところ

 

 〇薬膳

 ✓たけのこ

熱邪による咳、胸のつかえ、のどの渇きに効果を発揮します

 ✓落花生

潤肺止咳作用があり、慢性の咳に効果を発揮します

また、脾胃の虚弱による食欲不振や貧血やめまいにも効果的です

 ✓小松菜

風寒による咳、肺の虚弱による喘息・咳に効果を発揮します

 ✓玄米

気血水の巡りを改善させ、咳、痰、吐き気に効果を発揮します

また、むくみや便秘の改善にも効果的です

 ✓梨

熱邪によるのどの渇きや咳に効果を発揮します

 ~腎の不調の場合~

 〇ツボ

 ✓復溜 ふくりゅう

内くるぶしの後ろの凹んだところから指3本分上

 ✓経渠 けいきょ

手首の最も突出したところと拍動する動脈の間

 

 〇薬膳

 ✓くるみ

補腎助陽作用があり、腎気の虚弱による腰痛、冷え性、むくみに効果を発揮します

 ✓黒豆

むくみ、関節の腫れ・痛みに効果を発揮します

 ✓うなぎ

足腰のだるさ・痛み、疲れや無気力の際に食べると元気が出ます

 ✓ひじき

水分代謝をスムーズにし、むくみに効果を発揮します

また、美髪や美肌効果も期待できます

 ✓黒きくらげ

気血を補い、疲れやすい、顔色が悪いなどの症状を改善してくれます

 参考になったでしょうか?

 

 実際の治療では評価で個人の臓腑の不調を判断し、それに合わせたツボを用いて治療を行ったり、日常生活上のアドバイスをさせて頂いたりしています。

 

 少しでも皆様のお役に立てれば幸いです。