更年期障害とは
更年期とは閉経前後10年間を指します。その際に心身ともに様々な不調を生じ、生活に支障を生じるものを更年期障害と言います。
更年期障害は加齢などの身体的因子、性格などの心因的因子、人間関係などの社会的因子が複合的に関与することで発症すると考えられています。
そのため、これら3つの因子を取り除く、軽減させることが出来れば、更年期障害も楽になるかもしれませんね。
具体的な症状は以下のものが上げられます。
- ほてり、のぼせ
- ホットフラッシュ
- 動悸、息切れ
- 肩こり
- 頭痛
- イライラ
- うつ傾向
- 情緒不安定
- 不眠
- 冷え
- むくみ
- 便秘、下痢
- ドライアイ
- 痺れ
- 関節痛
- 月経異常
これらを見てわかるように症状は実に様々で個人差があります。
では、なぜ更年期障害を生じてしまうのでしょうか?
以下のグラフは女性ホルモンの1つエストロゲンのライフサイクルで見た分泌量の変化を表したものですが、40歳以降に急激に分泌量が減少しているのがわかりますね。
エストロゲンには自律神経の調整をしたり、血流の調整をしたりする働きがありました。この急激な減少により、ホルモンバランスが崩れ、様々な症状を呈してしまうことが考えられています。
更年期障害対応策
次に更年期障害の対応策を日常生活、ツボ、運動の3つの観点から説明していきます。
まずは日常生活で気を付けて頂きたいことについて説明していきます。
更年期障害による体の変化は正常な反応でもあるため、完全に症状をなくすと言うより症状を受け入れ、その上で対策を取っていくことが良いと思います。
〇受け入れる、共有する
前述したようにまずは受け入れることからです。体にとっては起こるべくして起こる変化でもあります。
また、同年代の友人の方も同じような症状で困っている方がいるはずです。悩みを共有することで気持ちが楽になることもありますよ。
〇バランスの取れた食事
食事によって私たちの体は形成されます。あれが良い、これが良い、あのサプリが良い…何よりもバランスの取れた食事が一番ですよ。ただ、植物のエストロゲンと呼ばれているイソフラボンが多く含まれている大豆類を意識して食べることは良いと思います。
〇有酸素運動
有酸素運動により、更年期障害が楽になるという研究結果があります。特にホットフラッシュに効果があるようです。ウォーキングで構わないので、20分以上の運動を週3回程度行うように心がけましょう。
〇リラックス方法を見つける
自分なりのリラックス方法を見つけて自律神経が乱れないように心がけることも大切です。
どれも当たり前のことだったり、ちょっとした工夫で実践できることだと思います。ゆっくりご自身のペースで試してみてくださいね。
次に更年期障害におすすめのツボをお伝えします。まずは全員におすすめのツボを3つお伝えします。
三陰交:内くるぶしから指4本分上、骨のきわ
婦人科系のトラブルでよく使われるツボです。お灸などで温めてあげると良いでしょう。
神門:手のひら側の手首のシワ上で小指側
特に精神的な症状や息切れ、動悸に対する症状に効果を期待できます。このツボは気持ちの良い圧で押してあげると良いでしょう。
子宮:おへそから手のひら1枚下、そこから指4本分外側
月経前症候群の際にもお伝えしたツボです。その名の通り、このツボも婦人科系のトラブルの際に効果を発揮します。温めてあげるのがおすすめです。
次に更年期障害の症状をいくつかピックアップして、その症状におすすめのツボをお伝えします。
〇イライラ
太衝:親指と人差し指の間を足首の方へなぞり、指が止まるところ 動脈拍動部
イライラしたくないのにイライラしてしまうのは辛いですね。このツボは押してあげたり、置き鍼をしてあげたりするのが良いでしょう。
〇不眠
失眠:足の裏で踵のど真ん中
眠りたいのに眠れないのも辛いですね。薬にはあまり頼りたくないという声もよく耳にします。このツボはお灸で温めてあげるのが良いですよ。もしくは寝る1時間程前に踵を温めてあげましょう。
〇むくみ
豊隆:お皿の下と足首を結んだ線の真ん中から中指1つ分外側
すねにあるツボです。このツボは押してあげても温めてあげてもどちらでも良いと思います。月経前症候群の際にお伝えした「陰陵泉」と併せて対策してみてくださいね。
〇肩こり
肩井:首の後ろの真ん中と肩の端を結んだ線の真ん中
更年期障害から生じる肩こりもあります。このツボも押してあげても温めてあげてもどちらでも良いと思います。
〇便秘、下痢
水道:おへそから指3本分横、そこから指4本分上
水道という名の通り、体の水分量を調節してくれるツボです。このツボは温めてあげるのがおすすめです。
対応策の最後、運動についておすすめの3つの運動をお伝えします。
〇有酸素運動
特にホットフラッシュ、冷え、むくみ、精神面のトラブルなどの症状におすすめです。
ウォーキング、ジョギング、ラジオ体操、水泳などの簡単な運動をじんわりと汗をかく程度の強度で20分以上、週3回ほど行っていきましょう。
〇肩甲骨、背骨を動かす
肩こり、頭痛、精神面のトラブルなどの症状におすすめです。
イスに座りながら簡単にできる運動なので隙間時間にやってみてくださいね。(下図参照)
背骨や肩甲骨を動かしていくことで、筋肉の柔軟性の獲得はもちろん、自律神経のバランスを整えることも期待できます。
〇深呼吸
精神面のトラブル、息切れ、動悸などの症状におすすめです。深呼吸は鼻から吸って口から吐くようにしましょう。吐く時間を長くすることがポイントです。
3つの運動に共通することが精神面のトラブルに対して効果を期待できることです。
更年期障害にはイライラ、不安、うつ傾向、情緒不安定など精神面のトラブルも多々見られます。今回取り上げた3つの運動はリフレッシュ効果、自律神経の調整、セロトニン分泌など精神面に対しても良い反応が期待できます。
運動は身体機能だけでなく、精神面にも作用しますので、ご自身に合った運動をぜひやってみてくださいね。
更年期後に気を付けたいこと
最後に更年期後に気を付けて頂きたいことについて書いていきます。
まず、更年期後に生じやすい体の変化について確認していきましょう。更年期後には女性ホルモン(特にエストロゲン)の減少や加齢の影響により以下のようなことが体に生じやすくなります。
- 骨密度の低下
- 筋力低下
- 頻尿、尿失禁
- 高血圧
- 高脂血症
これらのことを全く生じさせないようにすることは難しいですが、症状を軽減させること、進行を遅らせることは出来ますよ。
今回は特に骨密度の低下と頻尿、尿失禁について対応策を説明していきます。
まず、ほとんどの女性に見られる骨密度の低下についてです。これは女性ホルモンによる影響がかなり大きいので完全に防ぐことは難しいです。
骨密度の低下を少しでも防ぐためには運動と食事が大切になります。
骨に負荷、特に長軸に圧をかけることで骨密度が低下しづらいことがわかっています。そのため、推奨される運動としてはウォーキングはもちろん、スクワットや姿勢を良くし背骨に圧がかかりやすくなるようにバンザイ運動がおすすめです。
食事に関しては骨形成に関与するカルシウムとビタミンDを意識して摂取すると良いでしょう。カルシウムは乳製品や魚類に、ビタミンDはサケ、カジキ、キノコ類に多く含まれています。
次に他人に相談しづらい悩み、頻尿、尿失禁についてです。
頻尿、尿失禁の原因は多々ありますが、その中に姿勢不良や骨盤底筋の機能不全があり、それらに対しては普段の意識やトレーニングにて改善することが可能です。
また、骨盤底筋が緩みやすい出産後にケアをしておくことも後々のことを考えると非常に大事ですよ。
骨盤底筋の運動は写真や文章で説明するのは難しく、実際に行うのがわかりやすいです。当院のパーソナルトレーニングにてアプローチすることが可能です。お悩みの方は一度ご相談くださいね。
長くなりましたが、最後までお読みいただきありがとうございました。
この記事が更年期障害でお悩みの方の役に立てば幸いです。